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研究者のはしっこ ohtaraki2.exblog.jp

身の周りの自然を守ることに対して、研究者は何ができるか。自問自答を繰り返す毎日。


by 草原好きオバちゃん

海の中の記録

山口大にちょこっと行っていて、廊下を歩いてる時に
ふと思い出しました。

この春退職された貞方先生が、言っておられたこと。
先生が科研で出された成果には、

  「周辺山地の人為的荒廃化が少なくとも
  千年前には始まっており、諸河川の天井川化とともに
  海域に運び出された堆積物が本地域の干拓地造成の
  土台をなしたものと見ることができよう。」

とあります。
椹野川の下流域での過去の堆砂状況を調査されたものですが、
中世には過度の土地利用で土砂が流出し、それがさかんに
河口域にたまったことを確認されています。

そして、もっとスケールが大きくなって、
新しく着任された楮原先生のご研究では、

九州の八代海でのボーリング調査から、
「1万年前には堆積物が非常に多かった」ことが確認できるそう。
八代海に注ぐ河川の上流には、熊本・阿蘇地域があります。
折しも、阿蘇の草原は1万年前くらいに成立したのではという話に
なってきています。

楮原先生に、そんなアバウトな一致について、オソロシクも
質問してみたら、

  「一万年前くらいというのは氷期が終わったすぐで、森林の
  発達も未熟だったでしょうし、その地表の状態で土砂の
  流失が多かったというのは考えられるでしょうねえ。」

というお答えでした。(楮原先生、優しい!)

いえ、決して科学的な実証をともなう話ではないんですけれども!
でも草原が広がっていたという地上の記録が海底深くにも
残されているのかと思うと、なんか夢がありません?
by ohtaraki2 | 2012-09-03 11:50 | お勉強 | Comments(0)