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研究者のはしっこ ohtaraki2.exblog.jp

身の周りの自然を守ることに対して、研究者は何ができるか。自問自答を繰り返す毎日。


by 草原好きオバちゃん

「本来の姿」って?

秋吉台での草刈りの話をすると、
ちょっと物知りな方から必ず発せられる言葉が
「草刈りで秋吉台本来の姿をこわすことはないんですか?」

これって、あらためて考えるとわからなくなってくる。
「本来の姿」ってどういうもんだろう?

  この間、大御所の先生に問いかけられたので、逆に
  先生はどういうものが本来の姿だとお考えですか?と
  問いかけたけど、言葉につまったようで
  答えは返ってこなかった。。。




じゃあちょっと自分で考えてみよう。
まず、

● 山焼きがあって、広い草原があって。
・・・これは多分今も昔も同じ

● 30〜40年前にさかのぼれば秋吉台はほとんどが草刈り場だった。
・・・昔は草刈りする方が「本来」だった
    これが昭和40年頃の草原。
    草丈が低く、かなり地面が見えているのがわかる。
    道もたくさんあったようだ。
「本来の姿」って?_e0295994_18102233.jpg

● 町営の牧場があったころは、もしかすると
  牛がいる景色の方が「本来」だったかも?
・・・もっと昔は、草を運ぶために牛を連れて草刈りに来る
   というのが普通だった(秋芳町史の記述より)


やっぱり、時代によっても、もしかすると集落によっても
頭の中にある「本来の姿」は違うのかもしれない。。。



現在または10〜20年前くらいからしかの秋吉台しか知らない人は
「本来の姿」を草刈りや放牧のない風景に置くんだろうなあ。

  そして、今私に問いかけてくる人が
  「本来」とイメージするその草原では、
  草刈りがさかんだった頃にはたくさんあった
  草原性植物の多くが絶滅危惧種に指定されている。

  花の数が少なくなっているという年配の方の声もある。




でも、そんなリクツの前に、草原の何に価値を求めるか
今後どうしていきたいかをちゃんと話し合わないと、
いつまでたっても共通の「本来の姿」は見つからず、
それぞれの理想をぶつけあってケンカするんだろうなあ。

「本来の姿」という言葉を聞くのにうんざりしてきたこの頃、
どうしたものかとこの5年を振り返ったりしています。
by ohtaraki2 | 2013-01-06 18:20 | ひとりごと | Comments(0)