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イヌビワ、食べてみた

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イヌビワ。
ビワとつくけど、ビワの仲間ではなく、イチジクの仲間。
クワ科イヌビワ属。

葉っぱが細いホソバイヌビワも秋吉台の周辺には結構ある。

さて、熟した果実を見つけたので食べてみました。
これは熟して割れたすぐのようで、アリなどはまだ見当たらず。
ほかのいい匂いのするものはすでに虫まみれでしたけど (^^;;

そういえばイチジクもいまお店に並んでますね。

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熟したイヌビワ、甘い!
ちゃんとイチジクっぽい味がします。
野生のものできちんと甘いのはすごいなあ。


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さて、イチジクの花の仕組みをちゃんと説明できるか???

春〜夏
 イチジクの花は「無花果」と書きます。
 春先に突然、実のように見えるものが出現するからです。

 これは正確には実ではなくて、イチジク果と呼ばれる偽実です。
 多肉質の花床がつぼ状になり、その内側に多数の小花がついています。
 花の状態の時は「花嚢(かのう)」と言われます。

 雌雄異株なので、花柱の長い雌花のみをつける雌株と、
 花嚢の中に雄花と雌花をつける雄株があります。
 雄株だから雄花だけしかつけない訳ではないようです。

 イヌビワの花は、受粉を「イヌビワコバチ」という小さな
 蜂に頼っています。

 イヌビワコバチのメスはイヌビワの若い花をみつけて
 頂上の穴から潜り込み、雄花嚢の中の胚珠に卵を産みつけます。
 その卵がかえるとオスとなります。オスは、メスより一足先に
 子房から出て、メスのいる子房壁に穴を開け、交尾します。

 交尾を終えたメスは、花嚢の頂上から外に出ます。
 この時、花嚢の出口付近には雄花が花粉を出しており、
 この花粉をつけて、若い花嚢を求めて飛び去ります。

 オスは花嚢から外に出ることはありませんから、翅は
 持っていません。

 イヌビワの雄花嚢を出たイヌビワコバチのメスは、
 また雄株の花嚢に入り卵を産みます。
 つまり、イヌビワの雄株の花嚢は、イヌビワコバチを
 養うためにあるのです。


 初夏になると、雌株にも花嚢ができます。
 イヌビワコバチは雄の花嚢にも雌の花嚢にも入ろうとします。
 
 雌花嚢には雌花だけがありますが、雌花の柱頭は
 雄株の雌花の柱頭より長く、イヌビワコバチの産卵管は
 胚珠に届きません。

 つまり、雌株の花嚢に入ったイヌビワコバチのメスは、
 花粉を運ぶだけで子孫を残すことはできません。
 そして、イヌビワの雌株は、イヌビワコバチが運んで
 くれた花粉で、立派な種子を作ることができます。

秋〜冬
 秋には雄の花嚢だけが樹についています。
 これは「越冬果嚢」と呼ばれ、イチジクコバチの幼虫は
 ここで冬を過ごします。

 イチジク属の多くが熱帯に分布するなかで、イチジクと
 イヌビワは温帯域に適応するために「落葉」する性質を
 身につけ、コバチ類が冬を越す部屋を備えているようです。


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以上、ざっくりとした説明ですが、なんとなく、
イヌビワの雄株はイヌビワコバチのために、
雌株はイヌビワ自身のために存在するようなものなんですね。

イチジク属は700種ほどあり、それぞれのイチジクに
イヌビワコバチのように共生する相手のハチがいるそうです。
1対1の関係が700種類も!

イチジクの新しい種類ができると、それに対応するハチが生まれ、
その共生関係は数千万年以上続いたと推定されています。
「共進化」と呼ばれる関係ですね。

たしかに年中実をつけてるように見えるイヌビワ。
その中ではイチジクコバチの生活が営まれていたんですね。

イヌビワの種子そのものはヒヨドリなどの鳥によって
散布されるそうです。甘い果実は鳥にもごちそうでしょうね。


※ ちなみに、お店に並んでいるイチジクは、受粉しなくても
  花嚢が発達する栽培品種で、雌株だけが育てられています。
  コバチは関係しないようです。




by ohtaraki2 | 2016-09-22 11:25 | ひとりごと | Comments(0)